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ニートフレックス

買ってはいけないDJコントローラー

コンピューターの普及とソフトウェアの進歩でDJがとても身近になりました。

 

一昔前まではアナログターンテーブル2台とDJミキサー、レコード針(計20万くらい)と、さらにそれらを置くスペースとテーブルが必要だったわけですから、始めるまでに結構な予算と気合が必要でした。

それが今ではラップトップ(MacBook Air)と3万円くらいのDJコントローラーさえあれば学習机の上でDJ始められちゃいますから、かなりハードル下がりましたよね。

そんなわけで、一時期は死に体だったDJ機材メーカーも徐々に勢いついてきましてDJコントローラーが各社から怒涛の如くリリースされ続けているのです。

 

ところで、DJコントローラーが何かを説明すると、ラップトップ上のソフトウェアを操作する為のコントローラーです。例えば絵をPC使って書く人がお絵描きソフトで絵を書く為にペンタブ使うのと同じです。

別にDJソフトだけでもDJをするのも不可能ではないですが、ラップトップのキーボードとトラックパッドでDJソフトをコントロールするのは、かなり無理があるので専用のコントローラーを使うわけです。

 

それでDJコントローラー黎明期には結構斬新というか今考えるとトンデモな珍品もあったりとしましたが、最近は(特に国内だと)Pioneer DJ一強という感じです。

中でもDDJ-RBとその後継機であるDDJ-400は数あるDJコントローラーのなかでもブッチギリに売れてます。

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それもそのはず、同じくPioneer DJで同価格のDDJ-SB3はコントローラーの機能的にはほぼ同じ性能で対応ソフトserato DJ Pro (1.5万円)が※別売りなのに対して、DDJ-400はrekordbox dj(1.5万円)というDJソフトが無料でついてくるんです。

※serato DJ Liteバンドルとされてますがserato DJ Proの機能限定版の無償ソフトなので正確にはバンドルとは言えません

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3万円のコントローラーに1.5万円のソフトがついてくるって相当お得だと思いませんか?

同レベルの他社製品だとNative InstrumentsTRAKTOR S2 MK3というDJコントローラーには同社のTRAKTOR PRO3というDJソフトがついて35,000円ですから、ほとんど価格破壊です。

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そんな大人気のDJコントローラーですが、一点だけ弱点があります。

 

 

DDJ-400(DDJ-SB3も)はUSBバスパワー駆動なんです…

 

 

は?

 

 

バスパワーってなんやねん!って方に説明するとスマホみたいにUSB経由で電源供給して別途電源サプライを必要としないとっても便利な機構の事です。

 

 

は?

 

 

電源を別に用意しなくていいなんて弱点どころかメリットしかないやんけ!

 

そう思うでしょう・・・

 

しかしバスパワーはUSB電源供給という都合上、非常に電圧が低いのです。

 

これの何が問題かというと、DDJ-400はDJコントローラーなんですが同時にオーディオインターフェースとしても動作するのです。

ようするにDJソフトでミックスした音声はUSBケーブルを介してDDJ-400から出力され接続先のスピーカーから音が出る仕組みなんです。大抵のDJコントローラーはこの仕組みです。

 

で、オーディオインターフェースを内蔵してると何が問題かというと、USBバスパワーでオーディオを出力するのは電力的に無理があるんです。

具体的にどうなるかと言うと、DDJ-400から出力される音はバスパワー故に非常に音が小さいのです。これをクラブのような大音量が必要とされる場所で必要な音量に持ち上げる為には接続先のDJミキサーやクラブ備え付けの宅ミキサーのアンプでグイッと持ち上げてやる必要が出てくるんですね。

そうするとどうなるかと言うと、もともと小さい音をアンプで無理やり増幅すると音が劣化するんです。ようするに音が悪くなってしまうんですね。

 

別に家でしか使わないよって人は全然問題ないです。家で練習するのにクラブほど大きな音量は求められませんし、例え音が劣化しても誰に聞かせるわけでもないわけですから。

 

僕が問題だと思うのは、このバスパワー問題、クラブでプレイする上で致命的な弱点を多くの楽器店や、アフィリエイトブロガーが殆ど触れてない件です。

 

ハッキリ言って楽器というのは1万円の楽器が10万円の楽器と同等やそれ以上の性能を持つことなんて絶対に無いんです。デジタルで言ったらマイク、生楽器で言ったらギターなんかを思い浮かべてもらうとわかりやすいと思いますが、安いのには必ず理由があったり、なんらかの弱点があるんです。

 

もちろん、使い方を間違えなければ決して悪い機材ではないです。むしろ本当にコスパも良くてコントローラーとしてもよく考え抜かれた機材です。

ただ、そこらへんのDJをやる上でかなり重要な弱点を説明しない楽器店やアフィリエイトブロガーは個人的には非常に不親切を通り越して悪質だとすら言えます。

 

なんだか、悪口ばっかりになってしまいましたが、例えば音量がそこまで求められない自宅練習用としてや、DJ機材の常設されてない小さなバーとかで使う分には問題なく、とっても良い機種だと思います。

 

ただ、上記の理由でクラブでは使えないというのはハッキリ言っておきます。

 

適材適所。そういう事です。