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【洋画】GOST IN THE SHELL【レビュー】

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ついに見ました!ハリウッド版攻殻機動隊ことスカーレットヨハンソン主演GOST IN THE SHELL!!!

 

スカヨハ版ロボコップだった?

結論として...

 

「スカヨハ版ロボコップや!」

 

これはロボコップです(すっとぼけ)

ロボコップ知らないって人に説明すると、ロボコップは1987年に制作されたハリウッド映画で14億円という(ハリウッド映画としては)比較的低予算の制作費で作られた機械化されたロボット警官が主人公の実写映画です。もし興行的にコケてたらB級カルト映画になってたかもしれない作品なんですけど、なんと全米で興行収入55億円もの大ヒットを叩き出しちゃったんですね。当時、日本でも大ヒットしました。

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僕と同じ30歳くらいの人は子供の時に金曜ロードショーターミネーターと同じく何度も見た事があるんで懐かしいですね。

物語の骨子としては殉職した警官の脳を機械の体に移植したロボコップとなり悪と戦うって話です。

最初は感情も無く喋り方や態度も完全にロボットそのものだったのがヒロインとの交流で段々と生身の時の記憶が蘇ってくるんですけど、それが一種のバグ的な形で任務に支障が出てきてロボコップ自身もそれに葛藤してみたいなお話です。

 

とまぁ改めて思い返すと攻殻機動隊の少佐とキャラ設定とか元々似てる所が多い作品なんですよね。攻殻ほどじゃないけど近未来の設定とかも。

ロボコップの話は一旦置いといて、ここから肝心のハリウッド版攻殻機動隊の話をいくつかポイントに分けて話ていきます。

CGグラフィック

これはさすがですね。基本的に押井守版の劇場一作目を下敷きにした世界観なんですけど、特に街の風景とかハイパーリアル感というかなんかみてるだけでちゃんとワクワクさせてくれるというか、SF/ファンタジーになってない近未来感を演出出来てると思いました。街に溢れる巨大ホログラムの広告とかはAKIRAっぽい印象も受けました。三次核大戦以後、ハイパーテクノロジーで急速に復興した超ハイテク都市でもあり、一歩裏路地に入れば娼婦や麻薬中毒者がうろついている陰々滅々とした貧困街/移民街の感じとか、ここらへんはAKIRAも意識、無意識は別として美術スタッフは多少の参考にはしてるんじゃないかなと思いました。

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キャラクターの背景

2時間の映画にまとめるには攻殻の持つ深いテーマ性や複雑なキャラクター描写には限界があります。押井守監督の場合は抽象的なシンボルだったり、孔子シェイクスピアなど多くの引用を散りばめる手法、つまりは圧縮した情報で世界観を補完する事によって時間短縮をやってのけてるわけです。それは同時に押井節とも言える監督独特の作家性でもあります。映画を一見一聴しただけではとてもじゃないけどわからない、いちいち誰の何の引用でどんな意味かなんて劇中で説明なんてしちゃくれませんから見る側は後で一生懸命セリフをググッて「あそこのシーンやセリフはそういう意味だったのか!」と二度見、三度見してやっと物語の本質に辿り着くわけです。これこそある意味で押井映画の醍醐味でもあるんですけど、それこそ外部記憶装置でもなければ初見の人は「なんじゃこれ?」となること間違い無いです。押井映画自体がオタクによるオタクの為の映画みたいなもんですから、ポリティカルな内容と相まって好みはハッキリ分かれると思います。

で、このハリウッド版はというと結構大胆に切り捨てる所は切り捨ててます。押井節をそっくりそのまま全世界がターゲットのハリウッド映画でやるわけにはいかないですし、そんな脚本にGOが出るわけもありません。なので、少佐以外のキャラクターは割と役割ごとに単純化され本筋に絡んでくるのもバトーくらいです。ただ取ってつけたように野良犬のバセットハウンドの世話をバトーにやらせて押井オマージュを入れたり、タケシキタノというよりはビートたけしにしか見えない荒巻をこれ見よがしに出すくらいならトグサのキャラをもっと掘り下げたりした方が完全義体の少佐、電脳化はしてるが限りなく生身のトグサとして物語に対比が生まれ厚みが出たんじゃないですかね?別にトグサのシーンを増やせという話じゃなく、義体化してない家族持ちの生身の人間だからこそのセリフを何個か言わせればいいだけの話です。トグサは9課において最も視聴者に近いキャラクターですから。

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ただ少佐の抱える完全義体のサイボーグとしての葛藤を原作や押井版でも明確に語られていない出生の秘密と直接結びつけて単純化したのは妥当かと思いました。

攻殻機動隊ARISEでも公安9課設立と合わせて少佐の出生について描かれてましたが、ハリウッド版の脚本にどこまで影響があったのかはちょっと謎です。ただ、クゼなど神山監督のテレビアニメ版(S.A.C)のキャラ名を借りてきてる点など単に押井版の実写化ではなく各作品が統合された設定にはなってます。

敵の単純化

9課のメンバーと同じく敵役のキャラクターにも役割の単純化が行われています。攻殻に出てくる敵役は押井版の人形使いや、テレビアニメ版のクゼヒデオ笑い男など、ステレオタイプなヒーロー漫画に出てくるような解りやすい悪者ではなく、政府や企業の不正を暴く為だったり、一種の被害者やマイノリティであったりと犯罪者ではあるものの「彼らには彼らなりの大義がある」キャラクターとして描かれています。そこが物語として厚みがあるポイントでもあります。

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ハリウッド版ではクゼという押井版の人形使いと、S.A.Cのクゼヒデオの設定を統合した攻殻らしいイデオロギーを持ったキャラクターが出てくるものの、最終的にはハンカロボティクス社長がマッドサイエンティスト的な黒幕として描かれて大筋では勧善懲悪のストーリーとなっており、今ひとつクゼという攻殻らしいキャラクターの設定を活かしきれてないように感じます。

まとめ

大筋では押井版の劇場一作目を下敷きにしているものの物語の単純化で、哲学的なテーマ性は薄れ、劇場二作目のイノセンスのようなバトーとトグサの硬派な刑事ドラマもなく、S.A.Cのような魅力的なキャラクターの掘り下げも無く、敵役もわかりやすい勧善懲悪モノとなってしまっては、もはや攻殻とは呼べないのではないでしょうか?

もちろん、ハリウッドの巨大資本だからこそ成し得た圧倒的なビジュアルはファンとして大いに嬉しい事ではあるのですが、ならば原作にも押井版にも無い画期的なサイバーパンク描写というか物語や設定にリアリティを与えるビジュアル面の発明が必要だったんではないでしょうか?

例えばハリウッド版でもまんま同じシーンがありましたが、押井版のイノセンスで検死官の目がパカっと開くシーン

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これも一つの発明なんですよ。見てるものにサイボーグならではのギミックで物語や設定に説得力を持たせるようなシーンの発明。

この発明が本作にはないんですね。ただ押井版やテレビアニメ版のおいしいシーンをCGと実写でトレースしているだけなんです。

これではハッキリ言って完全にロボコップです。もはや攻殻機動隊の設定を借りたロボコップにしか過ぎないんです。

ロボコップがダメだ、映画としてつまらないという意味ではなく、ハリウッドで近未来サイボーグ警察をやると結局ロボコップになってしまうのかという失望です。ロボコップって30年前の映画ですよ?下手したらB級カルト映画扱いの映画ですよ?それはあまりに進歩がなくないですか?だったら同じ近未来刑事モノのブレードランナーやジャッジドレッドの方が何倍も新鮮味があります。

 

もちろんガッカリしたと言っても某スペースバトルシップのような今すぐ監督を締め上げてやりたいようなガッカリではなく、「ハリウッドだもん仕方ないよなぁ」というガッカリです。ガッカリの次元が天と地ほど、いや地球と冥王星くらい違います。

 

 あと最後にこれだけどうしてもココは許せないってポイントが一つだけ…

 

 

 

 

 

 

 

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…。

 

……。

 

なんやねん!

 

この芸者ドールなんやねん!!!

 

これに比べたら今まで上げた問題点なんて微々たる事です。チャラにしてもいいくらいです。

まぁヒドイです。顔の真ん中に日の丸ってギャグじゃないですか?

ならあれか、顔に星条旗柄の金髪ポニーテールのチアダンサーバージョンもあんのか?

 

 

 

いや、それはちょっと見て見たいな…